「救済?」GAME82、青山陽平、溝口栄穂、Y・N
展示概要
GALVANISE Galleryでは、2024年6月8日(土)〜2024年7月28日(日)にかけて、アレキサンデル・バレの展覧会「我々のシュウ末」が行われた。この企画は、人類が現在直面している様々な世界的な問題、危機について、つまり終末論的なテーマで行われた。
生成AIによる絶滅した鳥類を消し去った写真、カッターマットがカットされた額縁、耐震構造についてのリサーチによるZINE、水平を測る機械を模した空気で膨らませる海辺に浮かべる彫刻、鳥を呼ぶ小さな笛など。
これらによる展示は、繊細かつアイロニカルかつユーモラスに鑑賞者に、私たちが今生きている時代性について訴えかけていた。
そして、終末という重いテーマでありながら、どこか底抜けた明るさがあった。
展覧会が終わってからしばらくして、この明るさに対して、私はキュレーターとして、救済というテーマで応答することができないか、と直感したのだった。
そして、救済?というテーマでキュレーションを行うことにした。救済とは、宗教的な意味合いから、陰謀論にいたるまで、どこか日常とはかけ離れたイメージがある。
しかしながら、そうではなく、日常的で身近でありながら、それでいて人類そのものを救済するという象徴的メッセージが込められた作品を選択した。
作家
GAME82
アーティスト。文字などを主なメディウムとしながら、意図的に意味を解体する表現方法をとるなど、言語中心のコミュニケーションの脱コミュニケーション化を図っている。主な展示に、2023「Fluffy Society」KOGANEI ART SPOT シャトー2F(東京)、2024「方・説トデネ法ル序カ」callbox(東京)など。
青山陽平
アーティスト。木でできた積み木で様々な小さな建造物をインスタレーションとして制作している。積み木を積むことは、バランス感覚を意識しながら、相互の関係性も意識し、それでも崩れかけるリスクを背負う、ある種の祈りにも似た行為だと認識している。
溝口栄穂
アーティスト。2016年に自身に起こった啓示的な神秘的体験とそれ以来引き起こされる統合失調感情障害という精神的障害とその精神的体感から着想を得て、2024年に再発症した際から、主に水彩などで色彩を表現のメディウムとして扱い、セルフケアおよび神秘主義という二面性のある作品を制作している。主な展示に、2024「What can we do to stop climate change?」Curry Rice Gallery(オンライン)「クリームソーダの精神」Cream Soda Museum(オンライン)など。
Y・N
アーティスト。非言語的な造形感覚として、線やパターンが変化する有様を描写したようなドローイングを制作している。ドローイングは通常の販売というかたちの他にも販売した金額を震災や戦争の被災者へ寄付するチャリティや、交換や寄贈というかたちなど様々な方法によって流通させている。主な展示に、2023「仙台アンデパンダン展」Gallery TURNAROUND(宮城)、「第3回藁工アンパンArt BAZAR」藁工ミュージアム(高知)、2024「becoming」TINGOO GALLERY(南京、中国)、「Drawing 2024」callbox(東京)、「ちっちゃい美術展」芸宿(石川)、「CHICHAI」Brasserie Pain Liquide(パリ、フランス)など。
キュレーター
坂本嘉明
インディペンデントキュレーター。主に芸術を社会との関係性として捉え、経済、贈与、言語、都市、地域などといったテーマを起点に、アートの持つ批評性について思考を重ね、現代社会と未来を再考察するようなキュレーションを主に行っている。主なキュレーションに、2023「Fluffy Society」KOGANEI ART SPOT シャトー2F(東京)など。
会期:2024年10月5日(土)〜2024年11月24日(日)
会場:GALVANIZE gallery (宮城県石巻市中央2-4-3 石巻のキワマリ荘)
時間:会期内の毎週土・日曜 / 11:00~18:00
料金:無料
作家:GAME82、青山陽平、溝口栄穂、Y・N
キュレーション:坂本嘉明
デザイン:柳川智之